「日本人」と「外国人」を分ける考え方は時代遅れ? 外側からみた日本の違和感


私は学生時代を日本で過ごし、日本で社会人を経験、その後イギリスやヨーロッパ諸国を移住・留学・旅行と様々な形で渡り、それぞれの国の多様な文化に触れてきました。

多くの国の文化を知ることで、日本に住んでいる時には気が付かなかった「外側から見た日本」の魅力に沢山気付く事ができました。
治安が良い事、丁寧でマナーが良い人が多い事、食事が美味しい事、道路や公共の場が綺麗でゴミが少ない事など、数々の素晴らしい点がある事に気が付きました。
しかし、それと同時に「日本社会の違和感」にも多く気付かされました。

今回は、外側から日本を見る事で気が付いた日本の違和感についてご紹介します。日本全体や個人がグローバル化に適応し、時代錯誤の考え方とならない為のポイントが隠されているので、ぜひ皆さんもこれを機に考えてみていただけると幸いです。

1.「日本人」と「外国人」の壁?


私は学生時代に、日本の観光業界やサービス業でアルバイトをしていました。働いている内にこれらの職場では「日本人のお客様」と「外国人のお客様」を分ける習性がある事に気が付きました。

イギリスでは「tourist(観光客)」が沢山おり、この単語は一般的に使用されますが、一人一人の個人に対して見た目で判断し「foreigner(外国人)」と呼ぶことはありません。
一概にイギリス人と言ってもインド系イギリス人であったり、アフリカ系のイギリス人など多くのルーツが存在するので、「外国人」であるかどうかを見た目では判断できません。
イギリスアクセントで会話をしていなくても、現地に30年以上滞在し、イギリス国籍を所有している人物かもしれません。



ではイギリスではどのように表現するのか?
「外国人」という大きな括りはあまり存在せず、「日本人」「ドイツ人」「イタリア人」といった紹介をします。観光で来た日本人は「Japanese tourist (日本人観光客)」、移住している日本人は「Japanese immigrant (日系移民)」と表現できます。

反して、日本では「日本人」と「そうではない人(外国人)」と大雑把な区別がされる事が少なくありません。もしかすると日本のメディアなどがそうした表現を未だに続けており、各個人の意識へ無意識のうちに影響させている可能性があります。
しかしそれは場合によっては、差別になる事があるという点に注意が必要です。


私が勤務していたホテルでは、部屋やレストラン席の席決めを「日本人」エリアと「外国人(さらに人種によって区別)」エリアと分けている事がありましたが(もちろん全てのホテルがそうであるとは思いません)、これは気持ちの良いものではありません。

皆さんもどこかの国で旅行してる場面を想像してみましょう。そこで訪れたレストラン席が「現地人」のエリア、「アジア系」のエリア、「アフリカ系」のエリア・・と分けられていたら(しかも現地人が優遇される配置となっていたら)、嫌な気分になる人の方が多いことでしょう。

状況によって「日本人」と「外国人」を分ける考え方は、「差別」に繋がることもあるという認識が必要です。

どういった事が差別になるか分からない、という場合は「自分が他国へ行った時にされたら嫌な事」を想像する事が良いでしょう。

それぞれの国は日本と同じようにそれぞれ異なる文化があります。各国々を尊重する事はとても大事です。


他言語対応できるスタッフを充てる為に「外国人」「日本人」の区別が必要である、という考えは一理あります。

しかし一般的なホテルやお店のような場所の場合、言葉はそこまで完璧に通じなくても問題ないと思います。

日本はサービスに「完璧」を求める国です。

海外の国々では、スマホを使いながらレジを売ったり、知人とおしゃべりをしながら接客したり、なんとも「緩い国」ばかりです。
そんな緩い国から来た人々が、日本のスタッフが英語を話せないからと怒ることも、気にすることもないでしょう。
大体の国では、お互いに言葉が通じない場面があっても、多くの人は何とか適当にやり過ごしています。ジャスチャーやアプリの使用で大概乗り切れるものです。

必ずしも「完璧に他言語を話せるスタッフ」は必須ではないのです。

2. 英語を話せる事を基準にしてはいけない


英語を話せなくて恥ずかしいと感じている人、
英語を話す人を見て「すごい!この人は優秀だ」と考えている人、
変わった英語のアクセントで話す人を見てバカにしている人、
逆に英語を流暢に話す人をみて「気取っていやがる」とバカにする人、
英語を話せない人を見て、「こんな英語もできないのか」と見下している人、

このような人々を日本で見た事があるかもしれません。もしかしたらあなた自身がどれかに当てはまる可能性もあります。

私もこのような人々を実際多く見てきました。個人的にこれらの言葉を「英語の呪縛」と呼んでいます。私は日本の小説をよく読むのですが、上記のような心理描写や会話が登場する事もあります。(その描写を読んだ時点で小説への期待が少し薄れるのですが)

もしこうした少し捻くれた考え方があなたの中にある場合は、捨ててしまいましょう。



「英語」というものを軸にすべてを判断したり、特別視する必要はないのです。

もちろん世界の第一言語という事もあり、勉強する事で非常に多くのチャンスが広がります。海外に行けばコミュニケーションの幅は多く広がり、英語の資格を取ることで就職できる会社も増えます。
そうした側面では、英語を勉強「する」か「しない」かの二択で迷われている方には「勉強する」事をおすすめします。

しかし「英語を話す事」や「話せない事」に対して、自分自身や相手に優劣をつけたりする事は健康的ではありません。
英語は一つの判断基準に過ぎず、英語によってその人自体の価値は決められません。


イギリス人はイギリスアクセントで英語を話しますが、前述の通り多くの国からの移民や観光客がいます。その為インド語のアクセントやスペイン語のアクセントなど強いアクセントで英語を話す人も沢山います。
この方々はコミュニケーションに重きを置いており、「ネイティブのように話せないし、自分のアクセントが恥ずかしい」などとは考えません。

日本人は繊細でシャイと言われていますが、その繊細さよって沢山のチャンスを逃すことはもったいない事です。まずは「英語の呪縛」から抜け出し、ごちゃごちゃした考えは捨て、思いのままにコミュニケーションを楽しんでみてください。

3. 混血児はなぜ全員「ハーフ」と呼ばれる?


日本で混血児はハーフと呼ばれますが、両親が「日本人」と「外国人」であると皆「ハーフ」と言われます。こちらも少々短絡的な表現の一つです。

ハーフ該当者や家族の中には、そう呼ばれる事を気にしない方、何とも思わない方、この表現が好きではない方、それぞれであると思います。

「ハーフ」は、片方の親がどこの国の出身であろうと、片方の親が日本人であるという条件さえ満たされると全て同じカテゴリとして扱われるという事に違和感があります。

例えば英語の場合、half Japanese half Frenchのようにどこの国とどこの国の混血なのかが分かる表現がされています。

ハーフに該当しない日本人の方も、「ハーフですか?」と聞いて会話を終了してしまうよりは、「ミックスの方ですか?お母さん(お父さん)の国籍はどちらですか?」などと言った形で、もう一つの国についても尊重する会話で工夫できると親切です。



4. 差別をするあなたは特別ではない


「差別は、無意識にうちにしてしまっている人が多い」とよく言われます。

もちろん意図的に行っている人も中には居るかもしれません。どちらにしても重要な事は、「シチュエーションが変われば、あなたが差別をされる立場になる」という点を理解することです。

特定のアジアの国を嫌悪している方でも、どこかヨーロッパの国へ行けば、同様に「アジア系」として差別を受けることもあります。

人種だけではなく、LGBTQ、生まれ、貧困、容姿や障害などあらゆる角度の差別要素に誰もが当てはまります。
多くの角度から物事を観察し、見知らぬ人の気持ちや想いを想像できるようになることが大事です。
難しい時は、自分の事へ置き換えてみると想像がしやすくなるかもしれません。

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