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データから読み解く日本
突然ですが、皆さんは現在の生活で「幸せ」を感じていますか?
毎年国際連合の関連団体が発表する「世界幸福度ランキング」(World Happiness Report)というものがあります。参考までに2019年版レポートの世界主要国の順位を見てみましょう。
・カナダ・・9位
・オーストラリア・・11位
・イギリス・・15位
・ドイツ・・17位
・アメリカ・・19位
・フランス・・24位
・イタリア・・36位
・韓国・・54位
・日本・・58位
156カ国もある中で日本の順位はなんと「58位」。主要国の中では断トツで最下位になっています。さらに残念なことにこのランキングでは日本は毎年順位を下げています。幸福度ランキング上位の国についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。

幸福度ランキングは世論調査と、GDP・社会支援・平均寿命・自由度・寛容さ・腐敗度を数値化された上でランキングが決定されます。
皆さんご存知の通り、日本の寿命は世界一で、GDPは世界3位。治安度は世界9位、さらに内戦もなく核兵器も保有していない平和な国です。基本的に治安の良い国は幸福度も高い傾向にあります。しかし日本は前述したように、国民の幸福度が非常に低いのです。
さらに2013年以降の自殺死亡率は日本はワースト6位。リトアニア、韓国、スリナム、スロベニア、ハンガリーと続き、第6位が日本。「先進国」の中では最悪の順位となっています。そして、日本は15歳から39歳の死因の第1位が自殺という衝撃の結果もでています。
一体なぜこのような結果になっているのでしょうか?
せっかくの一度きりの人生で多くのストレスを感じながら生きるなんて、とても残念な話ではありませんか?日本は国が貧しい訳でもなければ、発言や行動が物理的に制御されているわけでもありません。つまり、自身の思考や価値観を変え、勇気を出すだけで人生を変えられる環境にあるのです。実は案外簡単なことなのです。
現在絶望感で心を痛めているという方も諦めず、今回ご紹介する北欧の人々の生き方をぜひ実践してみてください。
なぜ日本は「不幸」なのか?
問題を解決するには原因を知る必要があります。まずは、なぜ日本がここまで不幸になってしまったのかを探ってみましょう。
日本の社会において大きな問題が3つあります。
失敗が許されない
自身の個性を発揮できない
他人と自分を比較する
失敗が許されない
日本人は「完璧主義」が多く、一度の失敗も許されないという風潮が存在します。他の国ではあまり問題にならない事でも、日本では大きな問題に発展し、失敗者をとことん追い詰める傾向があります。
例えば、日本はクレーマーが多い事でも知られていますが、レジ係が金額を打ち間違えると他の国では大した問題にはなりません。しかし日本の場合は責任者を呼べという事態になるという事をよく耳にします。他人に厳しい「超完璧主義」が多いことが分かります。
自身の個性を発揮できない
自身の個性を発揮できないことは日本の大きな問題の一つで、「空気を読む」ことが重要視される日本社会では、自身の意見をストレートに表現しにくい環境になっています。人の顔色に合わせ、発言を変えている人も多いのではないでしょうか?
日本ではこのような人間社会が、幼少期の学校生活から作り上げられています。教師が子供たちに協調性の重要さを押し付けすぎると、表向きは良い子どもを演じ、本来の自分の性格や意見を押し殺す子どもが増える結果となります。そんな子供たちのストレスが最悪の場合いじめに発展し、悪循環を生むのです。
他人と自分を比較する
先程の、自身の個性が発揮できないという部分にも共通していますが、日本人は自身や他人を比較し、容姿や収入、学歴などのステータスに囚われすぎる傾向があります。
日本や韓国は学歴社会と言われますが、北欧などのヨーロッパ諸国では学歴が就職にあまり影響しません。スキルや人間性が最も重視されます。日本人のように他人と比較したり、比較されながら生きることは多大なストレスになりやすく、自己肯定が低くなり精神疾患にもかかりやすくなります。
絶望から抜け出す事は出来る
筆者も同様に、数年前まで酷いうつ病に悩まされていました。10代後半からうつ病になり、少し回復したかと思えばまた戻ったりと鬱症状を数年繰り返し、当時の私の頭の中は絶望感しかなく、生きるのを完全に諦めていたのです。
それまでの私は他人に言われたネガティブな発言を一つ一つ気にし、自己否定に走る傾向がありました。そんな絶望期を乗り越え、考え方を根本的に変えられたのは、素晴らしい人々との出会いやサポート、本を読むこと、そして「世界を知ること」でした。
読書と、世界を知ることは私にとって最大の転機となりました。これまでの自分自身の中にあった常識やルールが覆されたのです。
世の中には様々な視点や生き方、文化があるという事を知り、心に余裕が生まれ、他人の意見を気にせずに自分なりに生きることに辿り着いたのです。世界観が広がった後に過去を思い返せば、当時固執していた考えは本当に大した問題ではなかったと感じました。
世界には様々な国がありますが、今回ご紹介するのが北欧です。北欧には北欧特有の個性的な社会があります。この複雑な現代社会のなかで多くの国民が「今、私は幸せだ」と自信を持って言える彼らの生活は一体どのようなものなのでしょうか?ここからは北欧諸国の生活背景を探ってみましょう。
世界一幸せな北欧諸国から学ぶ幸福のヒント
記事の冒頭にご紹介した幸福度ランキングでは北欧の国、スウェーデン、アイスランド、ノルウェー、デンマークそしてフィンランドの5カ国がTOP10にランクインしています。記事内では、
労働時間が短く、残業がない。
税金は高いが、医療費、教育費、出産費用などの保障が手厚い。
子供の自立や、国民のそれぞれの個性を尊重する社会。
物に固執しない。目の前の時間や生活を大事にする。
家族や家で過ごす時間、自然と触れ合う時間を重視している。
という事を幸せの理由として記載しています。今回はこの点をさらに追及し、社会保障制度など自分達では変えられない点を除き、日本の皆さんも「取り入れる事ができるポイント」をご紹介していきます。
仕事のために生きるのはやめよう
最近日本では働き方改革によって、以前よりも残業などが軽減されつつあります。しかし職種によってはまだまだ改善されていないのが現状です。これは北欧のみではなく日本以外の多くの国で言えることですが、土日はほとんどのお店が閉まります。平日でも営業時間は短く、日本のように24時間営業しているようなコンビニエンスストアなどはあまりありません。
さらに北欧やヨーロッパ諸国の一部では学歴は重視されず、新卒採用や中途採用という概念がありません。日本の場合は「大学受験→就職活動→定年までの労働」という決められたレールが一般的ですが、北欧では30歳や40歳になって大学へ進学をしたり、海外留学する人もたくさんいます。何歳になっても新しい職場へ就職することが安易で、大学の学費は無料なので、「新しい事を始めたい」という理由で大人になってからも大学へ入ることもできます。
日本は「継続することが立派」とされる風潮があるため、新しい事への挑戦には他国に比べハードルが上がります。しかし、もし今の仕事が好きではない、プライベートの時間も確保できずに辛い思いをしている、というのであればいっその事、転職や留学、大学受験をしてみるのも一つの手です。
他人にどう思われるか、他人にどう評価されるかという事ではなく、まずはシンプルに自分がどうしたいか、何が好きなのかを優先して考えてみましょう。
その後には金銭の事や、年齢、家族の意見などさまざまな言い訳が頭に思い浮かぶかもしれませんが、そんな言い訳を切り捨ててまずは「シンプル」に考えることが北欧流です。思い詰めて気を病んでしまうくらいならば、その勇気を他の方向へ向けてみませんか?
自分の個性を尊重しよう
「自分には個性もないし、なんの特技もなければ取り柄もないし・・」という発言をする日本人がたくさん居ますね。このような自分を下げる発言は日本人以外あまりしません。
自己肯定の低さから来る発言ですが、そもそもなぜ自己肯定が低くなるのかというと、先ほどポイントであげた「他人と自分を比較する」ためです。まずはその考えを取り除く必要があります。難しいように思うかもしれませんが、それは皆さんが思っているよりもとても簡単な事です。
人間誰しもが、自分にとって最も特別な存在は「自分」です。つまり自分にとって自分自身は「個性的でユニークな存在」なのです。単純にそれを理解すればいいのです。
北欧では幼いころから「個性を尊重する教育」が重視されています。世界の多くの親たちは子供の教育において「自分の意見を人に伝えること」や「子供が自立すること」に重点をおきます。この点が日本と他国が大きく異なる点の一つです。
日本の教育が重視するのは協調性です。そして親は子供の自立よりも「良い大学に行かせたい」「良い職業に就いてほしい」という考えが強すぎ、子供に対し支配的になっていることもあります。
日本も北欧のように「個性を尊重する教育」を取り入れることができれば、いじめに発展する考え方を自然と取り除いていく事ができます。なぜなら他人や自分の個性を尊重しあえる事で「変わり者をいじめる」風潮を減らせることができるからです。
日本の子どもたちが世界にはいろんな人種、考え方、宗教や文化がある事を学び、他人を尊重する生き方を早い段階で学ぶことができれば、大人になってからも柔軟性を持って生きられることでしょう。
まずは今皆さんができる事としては、他人の評価など気にせず自身の個性を認めることです。そして自分を表現する方法を探してみましょう。この世に個性的ではない人なんて居ませんよ。自信を持てるように毎日意識して生きましょう。
「今」を大事にしよう
過去の出来事に囚われていたり、将来こうなりたいなど未来の事ばかり想像してはいませんか?もちろん過去も未来も大事ですが、一番重要なのは「現在」です。
今は辛いけどこの先良くなるはず・・と期待しながら嫌いな仕事を続けたり、ストレスとなる人間関係を続けたり、そんな我慢は必要ありません。「いつか良くなる」という保障はどこにもありません。「今」の自分が行動を起こし、状況改善に努める必要があるのです。
デンマークでは「Hygge(ヒュッゲ)」というコンセプトがあります。心地良くくつろげる時間や、そんな時間を作り出すことによって生まれる満足感や充実感を指す言葉です。この「Hygge」を生活に取り入れることでデンマークの人々は毎日の生活を楽しんでいます。皆さんもこれを機に「今」という時間の在り方をもう一度考えてみましょう。
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完璧主義をやめよう
冒頭でも述べたように日本人は完璧主義で、他人にも自分にも厳しい人が多くみられます。1分1秒を争う日本社会で、数分の電車遅延に腹を立てる人も少なくありません。しかし人生には予期しないことがたくさん起こるものです。もう少し肩の力を抜いて気ままに生きてみることも必要です。
あまり事細かにプラン立てせず、世界のさまざまな国々を訪れることなどで視野を広げてみましょう。この世界は多くの人と共存しているんだということを理解すれば、他人や自分に対し「完璧」を求めることもなくなっていきます。
スウェーデンを代表する言葉「Lagom(ラーゴム)」。日本語では「多すぎず少なすぎず、ちょうど良い」という意味で、完全ではなく適度がいいというまさにスウェーデン人の生き方を表しています。完璧主義でストレスを感じている皆さんはこれから「Lagom」の精神を少しずつ意識してみましょう。
自然と触れ合おう
そんな単純な事なの?と思うかもしれませんが、疲れを感じている時は家に一日中こもるのではなく、思い切って自然と触れ合うことができる場所へ足を運んでみましょう。
風や木々の香り、水の冷たさなど身体全体で感じることで心身ともにリラックスすることができます。ヨーロッパでは休日にはハイキングやピクニックに出かける人が多くいます。日本の東京のような都会では自然と触れ合う機会が減ってしまいますが、積極的に行動してみましょう。
家族と家を大切にしよう
北欧の人々は基本的に「家族」との時間や「家」にいる時間をとても大切にしています。毎日ディナーは家族が揃ってご飯を食べ、クリスマスは恋人や友人ではなく家族とすごします。
最近日本でも北欧の家具や雑貨が流行っているように、「家」を大切にする北欧ではインテリアにこだわりを持っている人も多く、家族と過ごす大事な「家」を居心地の良い空間にすることを意識しています。
生活スタイルが不規則な日本では、家族が別に食事する事も多くなっています。さらに日本では「家族を大事にするのは恥ずかしい」という少し変わった風潮があります。
でもあなたが本当に家族を大事に思うのならば、その「恥ずかしい」という感覚を脱ぎ捨ててください。友人や知人に家族を大切にしている姿を馬鹿にされたとすれば、彼らはあなたにとって良い存在ではないかもしれません。他人の意見など気にせず、本当に大切にしたいと思う人との時間を大切にしましょう。
ゆっくりと焦らずに
さてこれで皆さんも北欧の幸せの「ヒント」を得る事ができましたが、これで満足してはいけません。これを機にゆっくりと行動を起こしてみましょう。もしあなたが今とても辛い状況にいるのならば、これらのヒントを何度も頭で繰り返し、少しずつでもポジティブなモチベーションに変化させていきましょう。人生は長いので慌てる必要はありません。大事なのは、その向上心をいつも忘れないことです。
あまり深く考えることをやめて、自分の人生を楽しもうと心がけていれば自ずと身に着くことばかりです。「Lagom」の精神で自分のペースを掴んでいきましょう。焦らずに、ゆっくりと自分の道を見つけていきましょう。
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