知らなかった! カナダ特有のユニークな文化と習慣7選

– Today’s writer –


 名前/住まい

Tsuki(40代前半) / カナダ

 どこの国・都市へ留学しましたか?

カナダ トロント

 留学していた時期は? 

2006年1月~現在

今回はカナダ在住のTsukiさんに「カナダ特有のユニークな文化と習慣7選」をご紹介していただきます。

1.トロントでは医療費が無料


カナダのオンタリオ州に属するトロントの医療保険制度にはOHIP(Ontario Health Insurance Plan)というのがあるのですがカナダ市民や移民、または労働ビザを持っている人の中でオンタリオ州に1年のうち153日以上住んでいる人はこのOHIPを持つ事ができます。OHIPの申し込みや保険料は無料です。OHIPのメリットは医師にかかる場合や出産などもこのOHIPに加入していると費用がかかりません。

トロントで仕事を始めてOHIPカードが届き、初めて使用した日は不思議な感じでした。診察が終わり、そのまま処方箋がなければ素通りでクリニックを出ます。初日は受け付けの人に確認したぐらいです。


処方箋の薬は長い間、自費だったのですが2019年3月に法が改正されOHIP加入者で24歳以下の人、プライベートに保険を加入していない人は処方箋の薬も無料になりました。

また24歳以上のトロントに住んでいる人の多くはOHIPの他に個人、または会社でプライベート保険に加入しています。というのもOHIPでカバーされないもの1つに歯科があるのですが、プライベートに保険に加入していないと毎回の治療費はかなりの高額になります。歯の根の治療(根管治療)が必要になったとき約800ドル請求がきました。

歯のクリーニングも1回につき200ドルぐらいかかってしまします。プライベート保険では歯科治療がカバーされるのがほとんどです。治療費がカバーされるのとされないのではかなりの差があります。


また私は初めはカナダのトロントにワーキングホリデーとして来たのですが、ワーキングホリデーではOHIPが加入できないので日本から保険に加入しトロントに来ました。一度休日にどうしても緊急外来に行かないといけない状況になってしまい、病院に向かったのですが長時間待たされた上に5分で診察が終了し請求されたのは500ドルでした。日本の保険会社でカバーできたので払ったいくらかは戻って来ましたが。

もう一つ多くのトロント在住の日本人が嘆いているのは、専門医に診てもらうのにかなりの月日がかかると言うことです。カナダでは日本のように専門医にすぐ診てもらえるのではなくファミリードクターやウォークインを通じて紹介してもらってから専門医に診てもらう事ができます。緊急ではない限り待つ期間は数カ月になっています。

私の娘もファミリードクターに専門医を紹介してもらったのですが予約の電話がかかってきたのは半年後、娘の症状はそれまでに悪くなり結果、緊急外来に走りました。

トロントだけではなくカナダ全般でこの専門医の待ち期間が長すぎると問題になっています。医療費がかからないメリットはありますがデメリットもあり、それがなかなか改善されないのが現状となっています。

2.カナダにいると寒さに強くなる


私は関西出身なのですが、関西では気温がマイナスになる事などほとんどなかったのですがカナダ東部トロントでは冬場はプラスになる事が少ないです。今年は5月の中旬でも10度を下回る気温でした。

そして夏が短くあっという間に冬になるのですが不思議なものでマイナスの気温を経験した事がなかった私でも13年もいると寒さに慣れてしまうものです。
もちろんマイナスの気温では防寒が重要なポイントになってきます。子供達は皆、服の上にスノースーツをきて通園、通学します。実はトロントの学校はニュースで寒冷警報が出てもなかなか休校になりません。

幼稚園でマイナス45度、小学校ではマイナス50度以上が休校になる基準です。今年は例年より寒く雪もたくさん降って大雪警報や寒冷警報がかなり出たのですが、休校になったのは大雪でかなり吹雪いている時の一回きりでした。


そんなほとんどプラスにならない冬のトロントでも春に近づき、0度あたりになりますと一斉に薄着になるのがカナディアンです。10度ぐらいまで上がると半袖の人も出てきます。気持ちは分かるけど、、と毎年思っている私ですが、そんな私も10度の気温でジャケットは不要になっている事に気付きました。

マイナス2桁を長年経験していると、プラスになっただけで「今日は暖かい」という言葉が自然と出てくるのです。寒さに慣れたと言えども外には長時間は入られません。そんなカナダの冬場は退屈だろうと言われた事があります。 

ダウンタウンなどはPathという地下街があり地下を通ってダウンタウンを移動できるようになっているのですが、トロント全体が地下で繋がっているわけではないので退屈と言われればそうかもしれません。
だからこそ、気温が少しでも上がると薄着になり外に出たくなるのだと思います。なのでトロントの春先は薄着の人達とまだ冬のジャケットを着ている人が混じり合っています。



3.道路状態で車は汚い


広々としたカナダの道路を走る車の多くは、はっきり言って汚いです。 どんなに高そうな車でも、泥が飛び散り傷だらけ。。。

日本のように新車のようにピカピカな車は少なく、傷がついても乗れれば問題なしのカナダ人。もちろん日本のように洗車場はあるのですが、よっぽど汚れた時や季節の変わり目ぐらにしか利用されません。私の中の日本でよく見かけていたががカナダで見ない光景の一つにガレージで自分で車を洗っている光景です。

私の地元では休日になるとホースを持ち自ら洗車をしている光景がありました。私はトロントで、いまだかつてホースを持って自ら洗車をしているカナダ人に出会った事がありません。


カナダ人が車の汚れなどがあまり気にならないのは分かる所もあります。
というのもカナダ、トロントの道路状態は結構ひどいものです。長く続く冬の間、道路が凍結しないように大量の塩が撒かれます。その塩によって溶けた雪や氷が泥と混じり車が走るたびに泥が跳ね返り車が汚れ、また塩によって車に傷がいく事もあるみたいです。

長い冬が終わり道路から塩が無くなると夏は道路工事です。トロントの雪解けが終わると至る所で道路の整備、工事が行われています。道路工事によって粉塵が舞い車は汚れてしまいます。こんな事からせっかく洗車をしたとしてもそれがいつまで続くのか、どうせすぐに汚れてしまうならそのままにしておこうと思うのも無理がないと思います。

私の夫が始めて日本に来た時、どの車も綺麗で道路もひび割れや盛り上がっているところもない事にかなり驚いていました。また私はよくバスを利用するのですが、上下の揺れが頻繁に起こりバス酔いするぐらいです。

カナダでのイメージだった広い道路をピカピカの車でスムーズに走り抜けるとはいかない状態になっています。高級車でも結構ぼこぼこになってしまった車をよく見ると妙に親近感がわきます。

4.とりあえずメープルシロップ


カナダと言えばメープルシロップ。日本で各家庭に醤油があるようにカナダでは各家庭にメープルシロップがあります。


日本にいた頃はメープルシロップはあまり馴染みのあるものではありませんでした。パンケーキにたまにかけるぐらいしかなかったような気がします。メープルシロップ7割の生産国カナダ(ケベック州)ではメープルシロップは色々な用途で使用されます。

メープルシロップにはゴールデン、アンバー、ダーク、ベリーダークと種類があります。だいたい日本で売られているのはアンバーだと思います。我が家でもアンバーを使用しています。ゴールデンからべリーダークになるにつれ色も味も深みが出てきます。定番のパンケーキやフレンチトーストはもちろん、ヨーグルトにかけてみたり、はちみつや砂糖をメープルシロップで代用しています。カナダ人はこのメープルシロップをメインの肉料理にも使います。どことなく照り焼きを作るのと同じ感覚です。

またサラダドレッシングに使用したり、コーヒーや紅茶に入れたり、とりあえず何でもメープルシロップ、メープルシロップ味の食品が店内に並んでいます。

カナダだからメープルシロップは安く購入できると思われがちですが実はカナダでも日本でも値段の差はないです。それでもカナダのお土産では不動の一位のメープルシロップ、お土産店には様々なメープルシロップが売ってありますがガラス瓶はかなり重くお土産に持って帰るのは結構大変だったりします。

カナダのお土産で他に思い浮かぶ商品が少ないのでとりあえずメープルシロップとなるのですが、メープルシロップと同じぐらい私の家族に評判が良かったものはメープルシュガーというものです。その名の通り砂糖なのですが特にベーキング、ケーキやクッキー、マフィンやパンケーキなどに入れるとメープルシュガーの良い香りと程よい甘さになります。


国旗にもなっているメープルリーフ、そしてカナダを代表すると言ってもいいぐらいのメープルシロップはカナダ人にとって身近にある物になっています。

5.何でもまとめるカナダ人


日本人がカナダにくると、必ず驚くのがスーパーでのカナダ人の買い物の量です。日本の倍以上はあるショッピングカートにどっさりと食料品が積まれています。一体全体、何人家族なのか?パーティでも行われるのか?と思いますが大抵は一般の家族構成で大家族でもパーティが行われるわけでもないのです。


カナダ人は買い物は大抵週末にまとめ買いをします。1週間分を1日で買ってしまうので、その量は大量になっています。週末はレジは長い列をつくります。だからといってレジ係が必死になってスピードを上げているわけでもなく、あくまでの自分のペースです。

カナダの大型スーパーではカゴからカゴへ入れる動作はなく、商品をじかにベルトコンベアーに置きレジ係がそのまま流れてきた商品をスキャンして行くので、流れ作業のようになっています。
トロントではプラスチックバッグが5セントします。このプラスチックバッグがかなり薄く、すぐ破けてしまうのもありカナダ人はマイバック持参している人がほとんどです。

また洗濯もまとめ洗いです。私の実家では毎日のように母が朝に洗濯をしていたのですがカナダに来た時、汚れた物を数日置いておくのはどうかというより、水がもったいないということで洗濯は1人だと1週間に1回と聞きました。

ファミリーだと1週間に2〜3回ぐらいの家庭がほとんどです。ちなみにカナダでは日本のように洗濯物を外に干す習慣はありません。ほとんどの家に乾燥機があります。乾燥機に入れられない洗濯物は家の中で干しています。
日本だと湿気があり、ジメジメしてなかなか乾かない事があり家の中では干したくない人が多いでしょうが、トロントはかなり乾燥しています。家の中で干してもすぐに乾きます。冬場に外に干そうものならそのまま凍ってしまいます。

あと有給休暇もまとめて取る傾向にあります。日本のように有給休暇があるのになぜか取りにくい、取っても数日というのはこちらではあまりなく、有給休暇は残さず取り多くの人が週単位で取ることが多いです。

バケーションや特に予定はないけど休息のためなど理由は色々ですが、どれだけ仕事が忙しくてもプライベートは別、与えられた休暇は取ってあたりまえと考えます。夫が勤めている会社は有給休暇をとっていなかったら、会社から取るようにと言われています。



6.子連れや犬連れに優しいカナダ人


カナダでも日本のニュースなどはよく読んでいるのですが、よく見る記事の中で日本ではストローラー(ベビーカー)は公共機関では肩身がせまい思いをすると書かれているのを見つけます。

電車に乗る時はベビーカーを折りたたむ人もいるのには驚いています。日本のベビーカーはカナダ人が持っているストローラーよりはだいぶん軽量で小さめです。カナダのストローラーはかなり大きいです。

私が使用しているストローラーを見て実家の両親がびっくりしていました。冬が長く、積雪があるトロントではストローラーはかなり頑丈なものでなければすぐに故障してしまいます。そんな頑丈で重たいストローラーをたたんで電車に乗るなどは不可能で、いくら満員の電車でもそのまま乗ります。

では他の乗客達は場所をとるストローラーにどんな顔をするか?


私は公共機関をよく利用するのですが、未だに1回も嫌な顔をされた事がありません。道をあけてくれ、ストローラーに体が触れると「ごめんなさいね」と私が謝るのではなく、乗客の方が謝ります。「場所とってすいません」と言うと、「そこは気にするところではない」と温かい言葉をかけてくれます。ストローラーのために場所を開けてくれる人も大勢います。

また赤ちゃんや幼児を連れていると、じっとしていられず退屈な赤ちゃんや幼児は突然泣き出したり、駄々をこねたりするものです。親としては静かにおとなしくしてほしいと願うものの、そうはいきません。親たちは必死で気を紛らそうとあれやこれやするのですが、もって数分。 そんな時は他の乗客に申し訳ない気持ちが出てきます。

全般的にカナダ人は話し好き、こんな状況に助け船を出してくれる事も多いのです。一見怖そうなおじさんも読書をしているお姉さんもあやしてしてくれる事がありました。電車の中だけではなく、道を歩いていたり買い物をしているとよく声がかかります。

また子供だけではなくカナダ人は全般的にペット好きです。公共の場でよくみるペットと言えば日本同様、犬なのですがカナダ人は本当に犬好きです。カナダで犬を連れていると子連れ同様声がかかる事が多いです。ちなみにトロントでは公共の乗り物に犬を乗せるのはオッケーです。

普通に改札を飼い主と通り地下鉄に乗っているのを見て初めはびっくりしました。日本みたいに小型犬、中型犬などいるのですが中には大型犬でもかなり大きな犬をよく見かけます。でもほとんどの飼い犬はよくトレーニングがされているのでおとなしく地下鉄やバスに乗っています。

7.カナダ人はアメリカ人をどうみてる


アメリカ人と比較される事が多いカナダ人。アメリカ人からはカナダ人は若干小馬鹿にされがちです。ではカナダ人はアメリカ人をどう見ているのでしょうか?結論から言うと多くのカナダ人はなんとも思っていません。

アメリカ人がカナダ人は何でもSorryを使用するとカナダ人との違いについて話すことがあります。これは私も長年カナダにいて感じている事の1つです。日本人がすみませんという言葉をよく使用するのと同様カナダ人もSorryをよく使用します。
カナダ人は何にでも謝ると言われていますが、Sorryを使用する事で場がギスギスした感じにはならないのは事実です。日本のすみませんとよく似ているので私は全くSorryに違和感を感じません。

そしてアメリカと同様カナダも移民国家、多くの人種や文化が混じり合ってできた国です。カナダ人は移民に大変寛容です。それぞれのルーツを尊重し共存していく事で争いを避け円満な関係を築いています。


カナダ人はテレビ番組はほとんどアメリカの番組を視聴し、定年を迎えた人の中では冬場をアメリカの気候の良いフロリダに滞在したり、物価がカナダより安いアメリカに国境を越えて買い物に行ったりカナダ人はアメリカを楽しんでいます。小馬鹿にされてもあまり気にしないのはカナダ人の温厚な性格もあると思います。 確かにそうだと怒るより笑いにかえる人によく出会います。

ただナイアガラの滝については、2つ滝が流れているのですが大きい方がカナダサイドにある事からひそかにメインの方がカナダにあると自慢をしてくるカナダ人です。アメリカを存分に楽しんでいるカナダ人もカナダに対する愛国心はアメリカ人と同様に強いです。

カナダデー(カナダ建国記念日)にはカナダの国旗が至る所に飾られ、イベントや花火が上がります。カナダ人である事、カナダに移民をした事、カナダに来た事を人々が誇りに思う日でもあります。カナダデーはカナダ人にとっては大切な日になっています。



– あとがき –


13年前にカナダについては全く無知で日本から飛び出したのですが、この国に住み続けていくうちに自分にとってはかなり心地の良い場所になりました。カナダに住むようになり日本にいた時には思わなかった日本の良さも知ることもできました。

カナダにいる日本人がみんな私のように同じような気持ちなのかと言うと決してそうではなく、やはり日本が良いと日本に帰国した人達も見てきました。カナダだから上手くいくというのではなく、どこに住もうが自分に合い、やっていけそうだと思える場所にたどり着く事ができたらそこからが始まりだと私は思います。


外国は犯罪が多く怖いと言うイメージがある人もいると思います。残念ながら一般的には平和で安全と言われているカナダでも日々事件は起きています。まさかこんな所で犯罪がとよく耳にしますが、これはカナダでも同じ事です。

去年はトロントで銃による犯罪が多発しました。ギャング同士の争いだけではなく、一般人が巻き込まれる事件もありました。これには多くのトロントニアン(トロントに住む人達)が悲しみました。皆が心が痛み、こんな時こそ更に絆を強くしようと呼びかけが続きました。

カナダの都市は住みやすい都市ランキングでも上位を占めています。移民である私に平等に接してくれ、チャンスを与えてくれたカナダはこれからも私は住み続ける事になると思います。
最後にトロントはカナダの中でも都会だから、、、、と思っている方、実はさほど都会でもないです。シンプルな都会と私は言っています。


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