大失態!フランスでのお買い物にはご注意を

– Today’s writer –


名前/住まい

ポポロ(30代前半) / 京都

今回ご紹介いただく国は?

フランス トゥール

滞在していた期間は? 

2000年8月

大失態!フランスでのお買い物にはご注意を


皆さんが海外へ行かれる目的には何があるでしょう?

語学留学や異文化交流をはじめ、観光やお仕事等、様々だと思います。
学生時代、私もフランスのTOURという町に約3週間ホームステイをした事がありました。TOURはとても素敵な町で、ステイ先のお宅も、お城のような外観の可愛らしいお宅でした。ホストファミリーもとても優しく、最初はホームシックだった私も最終日には、日本へ帰りたくない!と思う程、充実した日々を過ごす事が出来ました。

同じ留学生として来ていたドイツ人学生との交流やホストファミリー達との日々の生活、素敵なフランス人学生との出会いやフランスにある数々の有名観光地巡り等。フランスでの滞在は、笑いあり涙あり、感動や発見ありと、様々な出来事を私に経験させてくれる場所となりました。

そんな中でも、今回は私が体験した、お買い物にまつわる大失態をご紹介したいと思います。

私が滞在していたTOURの町は緑豊かで、教会等の静かに過ごせる場所もあれば、お店等が立ち並ぶ、少し賑わった場所もあり、その日の予定や気分によって様々な過ごし方が出来る町でした。

その日、私は学校の授業が早めに終わったので、同じ留学生仲間と町へ出掛ける事にしました。オープンカフェでオシャレな美味しいオムレツを食べ、その後、お店や街並みを散策。そこで、1軒の可愛らしいお店を発見したのです。日本でいう300円均一の様な所でした。

早速中に入ると、そこには沢山の雑貨が所狭しと並べられてあり、私は、香水やリップ、紅茶のTEAバック等、様々な商品を、日本の家族や友人へのお土産として買ったのでした。外国へ行くと、ついついお財布の紐も緩むものです。

そして、その国の文字が入っているだけで、魅力的に感じ、買ってしまうのです。

そう、フランスでもまさしく、フランス語の文字が書かれてあるだけでオシャレに見え、日本にあるような物でさえ、海外で買うから意味がある、そんな風に思ってしまいました。何とも単純な思考回路の私だったのですが、そんな私が、そのお店で、一つのオシャレなキャップを発見しました。




後方部分は黒のメッシュ、前方部分の白の布地の部分にはフランス語の文字が黒で書かれてある若者向けといった感じのものでした。すぐに一目惚れをした私は、迷う事なく購入。その場から早速被り、そのまま又、友人達とお出掛けを楽しみ、夕方頃、ご機嫌でホームステイ先へと帰宅しました。


マダム(ホストファミリーのママ)に買った物を見せようと意気揚々としていたのです。ところが!普段優しく出迎えてくれるマダムが、私を見るなり、

「あなた、その帽子は一体どうしたの?!若い日本人の女の子がそんな物を被ってフランスの町を歩いていたら、日本へ帰る頃には、あなた妊娠しているわよ!!」

といった内容の事を私に伝えて来たのです。はじめは何の事を言っているのか?なぜマダムがそんなに興奮して話しているのか?全くわかりませんでした。

フランス語の語学力は無いに等しい状態で留学したものですから、会話では中々理解出来ませんでした。ただ、マダムが身振り手振りで、男性が抱きついてくる様子や、お腹が大きくなるといった様子の表現を交えて一生懸命説明してくれる中で、よくよく聞いていると、なんと!!そのキャップに書かれてあったオシャレなフランス語というのは、実は、男性を誘惑するような文言なのだというではありませんか!




何という事でしょう。フランス語の文体がオシャレだったという理由だけで、その文字がどういう言葉の意味かを調べる事も気にする事もなくあっさり購入して上機嫌で被っていた私。
まさか、「性」に対して積極的なフランス人男性を知らず知らずの内に誘惑してしまっていたとは!!


そうでなくても日本人女性は、好意的に見られる事も多く、浴衣で街中を歩きでもすれば、皆が振り向き手を振ってくれるような町です。確かに思い返せば、その日はやけに色々な方と目が合ったり、にっこり微笑んで貰ったり、手を振ってくれる男性がいたりもしました。
日本人留学生に優しいんだな、と嬉しく思って、手を振り返したりもしていたのですが・・・まさか、そのキャップにも要因があったなんて・・。

とにかくその日は、驚きや恥ずかしさのあまり、すぐにキャップを被るのを止めました。
ホストファミリーの家族の中に、かなり素敵な息子さんもいたのですが、その息子さんにも「これは過激すぎるね、無事で良かったよ」と呆れられてしまいました。ショックでした。マダムや息子さん達にも「とっても素敵だよ。似合っているわ」等と言って貰える事を期待していたのに・・。

後日、その話をすると、友人達には「日本でなら被っていても誰も分からないんじゃない?」とも言われましたが、あまりに衝撃的だったのと自分の語学力の無さや無知さが恥ずかしく、やはり、その後もそのキャップを被る事は二度とありませんでした。


ただ、留学生仲間や同行してくれた先生達をはじめ、家族の間では、笑い話として当時もかなり話題になりましたし、今でも当時の話になると、誰かしらが私の失態を笑い話として、思い出深く語ってくれたりしています。
当時は、あのまま何も知らずに過ごしていたら、連れ去られたりしていたかもしれない等と思うと恐怖すら感じていましたが、周囲はただただ失敗談として笑って聞いてくれていましたし、今となっては私にとっても、素敵な思い出の一つです。

しかしながら、海外での安易なお買い物は要注意、しっかりと語学を理解した上で購入しなければ、私のように思いもよらない失敗や、時には、大きな事態に発展するかもしれない可能性を秘めている事も頭の隅に置いて、海外生活を楽しみたいものだと切に感じる出来事なのでした。

あとがき


外国、それは、その国々によって、文化や風習、政治、経済、教育、食生活、言語、何もかもが違う場所です。それを体感しに行くのが楽しみであり、学びであり、醍醐味でもあります。当然、失敗する事も多々ありますし、それが時に、取り返しのつかない事態に発展するケースも中にはあるでしょう。

世界情勢も日々変化する中で、危険な国も多々あります。しかしながら、それを恐れていては、何処へも行けないですし何も知る事も出来ません。学びを得る事も体感する事も出来ません。

今回ご紹介したエピソードも、当時はものすごく恥ずかしいだけの失敗談で、キャップもすぐに処分してしまったのですが、今思えば、当時もそのキャップを通じて、語学を学ぶ事の重要性やフランス人の国民性を再認識したり、ホストファミリーとのやり取りや交流が生まれたように思います。後々には、こうして、笑い話や素敵な思い出エピソードとして、周囲や私の心に残るかたちとなりました。

TOURという素敵な町での多くの経験は今も私の中に様々に影響を与えながら残っています。成功も失敗も様々な場所での様々な経験は大なり小なり、必ずいずれ自身の糧となる事と私は信じています。

ヨーロッパの中でも、芸術や歴史、食や習慣、ファッション、そのどれをとっても特別魅力的な国、それがフランスだと私は感じます。パリの凱旋門やエッフェル塔、ノートルダム大聖堂やモン・サン・ミッシェル、ルーブル美術館には有名なモナ・リザ。素晴らしいステンドグラスの数々。日本では決して出合う事の出来ない風景や習慣、人々の暮らしがそこにはありました。

数年経った今、また改めてTOURの町へ想いをはせ、あの頃出会った人達は今どうしているだろう?ホストファミリーのお宅はまだあるかな?TOURの街並みや生活はどのように変化しているだろう?
そんな事を思えば思う程、又、今一度TOURの町へ行きたくなってしまう私なのでした。




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