ヨーロッパ最西端に位置する「ポルトガル」。首都はリスボンで、大西洋上には自治州であるマデイラ島とアゾレス諸島も保有しています。
公用語はポルトガル語、通貨は近隣諸国のスペインやフランスと同じくユーロが使用されています。
大航海時代に種子島に漂着し、鉄砲や西欧の文化を日本にはじめて伝えたヨーロッパ人として日本にも深い関わりがあります。
本日のライター
名前 / 住まい
Yu Villegas / ドイツ
ポルトガル在住歴
1年
1. シーフード大国
海洋大国ポルトガルでは、大西洋で獲れる新鮮なシーフード料理を楽しめます。
イワシやタラ、タコ、イカ、エビ、メカジキなど、日本でもなじみのある魚介類をふんだんに使った料理は、どれも日本人の口に合うものばかりです。
その中でもポルトガルの料理に欠かせないのが「バカリャウ」いう塩漬けにした干しダラ。
365日毎日食べてもちがうレシピがあると言われるほど豊富な調理方法があり、スーパーには専用エリアがあるほどポルトガル人に愛されています。
個人的に大好きなメニューは、「パシュテイシュ・ドゥ・バカリャウ (Pasteis de Bacalhau)」という干しダラとじゃがいものコロッケ。日本のコロッケを彷彿とさせるホッとする味わいで、スナックとしてもおすすめです。
たくさんのシーフード料理があるポルトガルですが、日本人ならまず間違いなく好きな味なのが「アロース・デ・マリシュコ(Arroz de Marisco)」という魚介リゾット。新鮮な魚介類がふんだんに使われ、優しい味わいが特徴です。
また、初夏はイワシのシーズン。「いわしの炭火焼き (Sardinha assada)」が多くのレストランで提供され、中には路上で炭火焼きして販売するお店も出現し、脂ののった美味しいイワシを安価で楽しむことができるんですよ。
2. コーヒーと甘いものが大好き
あまり知られていませんが、ポルトガル人はコーヒーが大好き。どんなに小さな街にもカフェは必ずあり、いつも地元の人々で賑わいをみせています。
それもそのはず、一人当たりの年間コーヒー消費量はなんと400杯!1日に何回もカフェに立ち寄ってはコーヒーを飲むのが、生活の一部となっているんです。
そしてポルトガルでは、スターバックスなどの大手コーヒーチェーンはなかなか見かけません。
ローカルで賑わうのは、決まって小さな立ち飲み式のエスプレッソバー。仕事の合間に立ち寄って、居合わせた人とワイワイ話すのがお決まりの光景なのです。
またそんなコーヒーブレイクに欠かせないのが、ポルトガルのお菓子です。コーヒーにお砂糖をたっぷり入れ、さらに一口サイズのお菓子も一緒にいただくのがポルトガル流。
ポルトガルの国民的お菓子である「パステル・デ・ナタ(パイ生地にカスタードクリームがたっぷり詰まった焼き菓子」は、どのお店にも必ずあり日本人の口にもよく合います。
参考に代表的なコーヒーメニューをいくつかご紹介しますね。
- カフェ(Café):エスプレッソ
- メイア・デ・レイテ(Meia de leite):コーヒーと牛乳が半々(カフェオレのようなもので、コーヒーの味が強い)
- ガラオン(Galão):コーヒーが1で牛乳3の割合(カフェラテのようなもので、高さのあるガラスカップで提供される)
ポルトガルでコーヒーと頼むとエスプレッソが出てくるので、日本のようなドリップコーヒーを飲みたい場合は「カフェ・シェイオ(Café cheio)」を注文しましょう。お湯で薄めたエスプレッソがカップいっぱいに注がれてきます。
3. 物価が安い
ポルトガルは他の西ヨーロッパ諸国よりも物価が安いです。
特に食費は安く、コーヒーやワイン一杯は70セント~1ユーロ。パステル・デ・ナタなどのケーキも1ユーロ前後。スーパーでもフレッシュなパンや果物が、日本よりもかなり安い価格で買うことができます。
ただリスボンやポルトなど大きい街のレストランで食事をする際は、多くが観光地価格のためあまり物価の安さは感じないかもしれません。
しかし大きな街にも必ずローカルに愛される個人経営の食堂(Tasca)があります。日替わりメニュー(Prato do dia)があることが多く、大体5~7ユーロでメインディッシュ+スープやサラダ+ドリンクをおなか一杯いただくことができて、味も美味しい!旅行者にもおすすめです。
また、タクシーの初乗りは4ユーロ前後、メトロ一回券も1.8ユーロと移動費が他国より安いのも特徴です。
4. ディナーに時間をかける
ポルトガル人は、平均して3~4時間とディナーにかなり時間をかけます。
というのも、ポルトガル人にとってディナーはただの食事時間というだけではなく、家族や友人たちとのんびり会話やお酒を楽しむ憩いの場だからといいいます。
一見旅行者には関係がない文化と思いがちですが、旅行するときには注意することも。
まず、レストランの営業時間。ポルトガル人の食事時間は遅いため、ランチ営業が13時からというお店も少なくありません。そして夕方はいったんお店を閉め、ディナー営業開始は19時や20時から。(ポルトガル人は22時くらいからディナーをはじめる人も多いです。)
そしていざレストランに着席したとしても、そこからが長い!
まずメニューをもらうのに客と盛り上がっているウェイターさんを呼ぶところからはじまり、食事が提供されるまで2時間待つこともお決まりのパターンです。
そもそも客であるポルトガル人たちも、オリーブをつまみながらワイン片手におしゃべりに花を咲かせているので、せかす人も皆無。そのためレストラン側からも、急いで提供しようという意思がそもそもないのです。
そのためポルトガルでレストランに行くときには、待ち時間はあるものと割り切り、ポルトガル流にのんびりとした食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
5. 活動時間が遅くまで
ドイツなどの西欧諸国に比べると、ポルトガルのお店はかなり夜遅くまで営業をしています。
大型ショッピングモールやスーパーは深夜1時までの営業も当たり前、個人経営の小さな靴屋なども本当に遅くまで営業していてびっくりすることもありました。
これは、ポルトガル人のライフスタイルによるものが少なからず影響しているんだそう。
まずポルトガル人たちは仕事の昼休憩で家に帰ってランチをする人が多く、それも数時間をかけます。(中にはお昼寝をする人も!)
そして仕事開始するのが夕方。そうなると仕事後のショッピングやディナーもおのずと遅い時間となるのです。
小さなこどもたちを夜22時に街やレストランで見かけることも多く、ポルトガルを覆うのんびりとした雰囲気はこんな幼いころから自然と身につくのかな?なんて面白く感じたものでした。
6. おもてなし精神が高い
ポルトガルに住んでいるとき感動したことが、ポルトガル人のおもてなしの心。
主人の転勤でポルトガルに住むことになった私たちには、ポルトガル人の家族もいなければ知り合いもなし。はじめはとても不安でしたが、それもポルトガル人の方々の優しさのおかげで杞憂に終わりました。
主人の職場の人をはじめ、娘の保育園の先生、よく行くお店の主人などなど数えきれない人たちが、私たちを家に招待してくれてまるで家族のように受け入れてくれたのです。
そしてそういった場には、家族や友人、近所の人などたくさんの人が招かれているのも特徴的でした。
豪華なテーブルセッティング、手間暇のかかったたくさんの家庭料理の数々が用意され、ゲスト全員が快適にすごせているかチェックするなど、本当にホスピタリティのかたまり。
ポルトガル人の優しさは国民性とも言われ、旅行中にもその心のあたたかさを感じる場面が多くあるのではないかと思います。
同じラテン系のスペインやイタリアのような陽気さというよりは、繊細で素朴な優しさがポルトガル人の特徴。日本から遠い地にも関わらず、日本人に通じることが多く親しみが持てるのです。
7. サッカー愛が強い
ポルトガル人のサッカー愛もポルトガルを語る上で欠かせないことです。
世界一のサッカー選手とも称されたロナウドは、ポルトガルの自治州であるマデイラ島出身というのは日本ではあまり知られていないことかもしれません。そのあまりの人気ぶりに島の空港は「クリスティアーノ・ロナウド・マデイラ国際空港」にも改名されたほどなんですよ。
FIFA世界ランクでも最高3位の強豪国としても知られていて、サッカーは国民的スポーツ的な位置づけ。
総人口が約1,000万人と東京都よりも少ない規模でありながら、ヨーロッパチャンピオンズリーグでも上位を獲得する強豪クラブが多いのも特筆すべき点です。
国民それぞれに贔屓にするクラブがあり、試合がある日はカフェや食堂にたくさんの人が集まって店内のTVで観戦している光景が広がります。
もしポルトガル旅行の時に試合があれば、そんなローカルたちで賑わうカフェに入ってみるのもアリ。言葉の壁を越えて一緒に盛り上がったり、面白い体験となること間違いなしです。
8. 大航海時代と日本との歴史
世界史の中でも重要な転換期である「大航海時代」。これは15~17世紀ころのヨーロッパによるアフリカ・アジア・アメリカ大陸への進出が行われた時代のことですが、そのはじまりはポルトガルからということはご存じでしょうか?
アフリカ進出、インド航路の開拓成功、ブラジルの“発見”、東南アジアやマカオへの勢力拡大…と勢いにのっていたポルトガルは、当時「7つの海を制した」ともいわれるほど繁栄していたといいます。
また現在でもポルトガル語は5大陸・9ヵ国で話されていて、世界最大級の話者数を誇る言語。こういった面でも、歴史上のポルトガルの影響力の高さがうかがえます。
そしてその影響は日本の歴史にも。日本にはじめて到達したヨーロッパ人はポルトガル人で、鉄砲(火縄銃)の技術が日本に伝えられたのはあまりにも有名な話ですね。
かの豊臣秀吉はポルトガル人が伝えたきらびやかなマントなどの南蛮ファッションにハマり、家臣にも勧めたと伝わっています。
また今や日本語として使われている「パン(pão)」「天ぷら(tempero)」「こんぺいとう(confeito)」「ボタン(botão)」など、ポルトガル語がそのまま日本人の暮らしになじんだものもたくさん。意外にも日本とポルトガルは昔から強い結びつきがあるのです。
ポルトガルの特徴まとめ
日本から遠く、他のヨーロッパの国々よりもあまり知られていないポルトガル。
しかし意外にも日本と深い関わりがあり、ポルトガル人と日本人は似ているなぁ~と感じることもたくさん。
またヨーロッパ内でも特にごはんが美味しく、日本人の口にもとても合うものばかり。物価も安く、街並みも本当に綺麗…と訪れた人々を惹きつける魅力あふれる国です。この記事をきっかけに、ポルトガルについて興味を持っていただけたら嬉しいです。
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