今回は驚くべき「フランスの音楽学校と日本の音大の違い」について8つのポイントをご紹介いたします。
本日のライター
名前
MegumiParis ( WEB / Instagram / Facebook )
フランス在住歴
10年以上
1. フランスの授業料は年間平均10万円
フランスと日本の音楽学校で、個人的に一番違いが大きいと思ったのは「授業料」の違いです。
日本で音大というと、年間200万〜250万ぐらいの相当な価格となり、相当収入があり余裕がある家庭でないと入学できないという印象があります。
そのため「音大卒=裕福な家庭」というイメージがある方も多いと思います。
ですがフランスでは、なんと授業料は平均で年間10万円ほど。私立の音大は年間30万円ほどするとこともありますが、それでも多くても年間50万円までで、ほとんどの音大は年間数10万円で通えます。
にも関わらず、先生の質も一流で、お給料も日本の音大と同じぐらい支払われています。フランスという国は社会保障がとても手厚い制度のため、先生のお給料や、また家賃の手当金など費用面はかなり国の負担によって賄われています。
そのためフランスは「学費にはそれほどお金をかけられないけれど、音楽を真剣に学びたい」という方にはうってうけの国と言えます。
2. フランスではレッスン中でも周りで他の生徒たちが聞いている
日本の音大の個人レッスンでは、先生一人と生徒一人が完全プライベート空間で一対一のレッスンですが、フランスでは先生一人と生徒一人、そしてその周りに他の生徒たちが座って聞いているということがほとんどです。
「他の人の演奏を聴く」ということもレッスンの一環とされており、他人の演奏から学ぶことがたくさんあるという認識があるためです。
そして、場合によっては生徒の演奏の後、先生が後ろで聴いていた生徒に「今の演奏、どう思った?」などと意見を求める場合もあります。
「お互いの感想を聞き合い、学び、感性が磨かれる」という体制に基づいているため、「授業に出席する=自分の演奏だけ弾く」のではなく、「他の人の演奏を聴くことも授業」とされています。
音大だけに限らず、フランスの学校では、常にこのような「コミュニケーション」の中で成り立っているので、とてもアットホームな雰囲気で授業が進められます。
3. フランスの音大は「音楽の専門学校」
日本で音大というと、「音楽大学」なので当然入学には受験があり、音楽理論やソルフェージュなどの副科目のテストも含まれています。
しかし実はフランスではとりわけ「実技」重視で、実技さえできれば入学できます(音楽理論などの試験はありません)。
もう少し詳しく言えば「実技」と「初見」の2つが入学試験に組み込まれることが多いのですが、この「初見」は初めて見る楽譜をいきなり演奏することです。ただ、初見はよっぽど楽譜が読めない人を除き、ほとんどの人が合格するので、やはり入学の判断基準になるのはこの「実技」です。
そのためフランスの音大では授業時間数が少なく他の空き時間がたっぷりあるので、他の大学(たとえば工学部)と音大を同時に通う、ということも可能なのです。
このような理由から、医者でありながら音楽ディプロムも持っている、という方も少なくないのです。
4. フランスの音大には一般科目がない
上記でも述べましたが、フランスの音大は専門学校という認識があるのでその他の科目「音楽理論、ソルフェージュ、聴音、室内楽」などの一般科目は必須ではありません。そのため音大によっては、授業科目がほとんどないこともあります。
また日本の音大では必須の外国語(英語)や第二外国語(ドイツ語・フランス語など)の必須科目もありません。
日本の音大では、その他にも体育や選択科目など、単位を取得するためにとらなければならない科目が山ほどありあすよね。
しかしフランスでは上記のように「音楽の専門学校」とみなされるので、とりわけ「実技」さえ通れば入学できるのです。
ただし、ディプロム(資格)を取得しようと思えばもちろん、実技の他に室内楽などの副科も卒業時の試験科目に含まれているため、すべての科目に合格しなければなりません。
5. フランスでは年齢制限がある学校も
フランスの音大では、上記のようなメリットがたくさんありますが、その代わりに入学できるのに年齢制限があるところがあります。
というのも、やはり音楽そのもの自体が小さい頃から始めた方が伸びる可能性があるため、年齢層が高くなってから始めても、やはりレベルに追いついていけないことが理由として挙げられます。
ただし、もちろん年齢が高くなってから音楽を始めたい方もたくさんいらっしゃるため、私立の音大には年齢制限がないところもあります。そのため気にせず実技さえ通れば入学できます。
実際に、高齢になってから歌手になりたいと私立の音大に入学されて、ディプロムを取得され、その後レストランの生演奏などで歌手活動をされていらっしゃる方々もたくさん見てきましたので、本当に人それぞれです。
6. 卒業試験が非常に難しい
フランスの音大でも、日本の音大と同じように卒業時に必ず「卒業試験」があります。そしてエコール・ノルマル音楽院のような私立の音大では、その一つ上のレベルに行く「進級」試験があります。
そしてこの卒業または進級試験が、実は大変難しく、倍率は半分もないと言われています。そして、年によっては卒業者が1人もいない、ということも起こり得ます。
理由として、学校側も「卒業させる」からには、「きちんと私どもの学校で勉強をし、合格しました。この子はもう一人前の立派な音楽家です」と、世の中に送り出せる証書を与える、という任務があるため、生半可な基準では送り出せない、というのが理由です。
入学するのは難易度はそれほど高くなくても、卒業するのは非常に難しいというのがフランスの音大なのです。
7. 毎年募集があるとは限らない
日本の音大では毎年決まって募集がありますが、フランスの音大では各クラスに「定員」というものが定められていることがあります。「これ以上はクラスに入ることができないという生徒数」です。
そのため、例えばその年に卒業試験に合格して卒業できたのが3人だとすれば、次の年の生徒募集人数は3人になる、ということです。言い換えれば卒業試験に合格する生徒がいなかった場合、「募集なし」という場合もあるのです。
上記でも述べましたが、入学するのは難易度は高くなくても、卒業試験はかなり難しため、卒業できない生徒がいる年もあるので、その辺りは日本との大きな違いとなります。
8. 「副科ピアノ科」はない
日本の音大では、ヴァイオリンやフルートなどの「ピアノ科」以外の楽器の人には、必ず副科として「ピアノ科」があります。
なぜかというと、音楽大学を卒業しているのにピアノすら弾けない、というのは日本では通用しないためです。
ですがフランスではこの「副科ピアノ科」は存在しません。
そのため、音大を出ているのにピアノすら弾けない、という方も珍しくはありません。フランスではあくまでも「自分の専門楽器」としての技量で判断されているため、自分の専門的ではない楽器の科目の資格は必要ないのです。
この辺りが、日本でいう「音大」とフランスでの「音大」の認識の大きな差と言えるでしょう。
フランスの音大のまとめ
いかがでしたでしょうか。
日本でいう音楽学校とフランスでいう音楽学校は、全く別のものであるということが分かりますね。
それぞれの国に適応した文化や習慣があるように、学校などの教育制度や、評価される基準、取り入れられているシステムも国それぞれ。
どちらが良い、悪いではなく、双方が良いところを分け合って共有して改善し、よりたくさんの人が音楽を身近に感じられるようになれば良いですね。
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