ヨーロッパ大陸のほぼ中央に位置するオーストリア。豊かな自然や歴史的建造物や音楽の分野で有名なオーストリアですが、どのような特徴があるのでしょうか?
今回はオーストリアへ行く前に知っておきたい7つの特徴について、現地の日本人がご紹介いたします。
本日のライター
名前 / 住まい
屋根もり / オーストリア
オーストリア在住歴
10カ月
1. とても小さい、落ち着いた、治安の良い国
オーストリアってすごく小さな国なんです。面積で言うと83,870㎢で、これは日本の約5分の1の大きさです。国土の半分は森林が占めていて、国の西部はアルプスの山々がそびえる山地となっています。
人口は約912万人。日本が約1億2,000万人なので、1㎢あたりの人口で比較すると、オーストリアが約100人、日本が約350人。オーストリアがいかに小さいな国か想像できるかと思います。ウィーンやリンツといった都市部に人口が集中していて、街から電車で数分離れただけで、一軒家がまばらに建つ牧草地に景色が一変してしまいます。
私が住んでいるオーストリア南部のケルンテン州は、オーストリアの中でも特に静かな地域です。緊急車両の音ですら、数カ月に1回聞くかどうかの環境で暮らしています。
そして、治安がとても良いです。各国の治安や安全性を評価する世界平和指数において163カ国中、5位に位置しています。私自身も非常に安心して暮らせていますし、国内旅行でも不安を感じるような場面は一度も経験していません。外国人旅行者が集まるウィーンやザルツブルクなどではもちろん注意を払う必要がありますが、それでも他のヨーロッパの国の観光地よりもスリなどの軽犯罪は少ないかと思います。
2. 以外と知られていないビール大国
みなさんは「ビールで有名な国と言えば?」と聞かれて、どんな国を思い浮かべるでしょうか。おそらくオクトーバーフェストで有名なドイツや、ビール片手にスポーツ観戦をするアメリカの光景を想像する方が多いのではないでしょうか。
余程詳しい人でない限り、オーストリアが世界でも屈指のビール消費国であることはご存じないかと思います。上述したように、オーストリアは国の規模が小さいため、総消費量では他国と比較して少ないです。しかし、1人当たりの消費量で比較した場合、チェコに次ぐ世界第2位のビール大国となっています(引用:キリンホールディングス)
オーストリアで生活していて感じるのは、ビールが日常に溶け込んでいて、生活の一部になっているということ。仕事の後、運動の後、休日に誰かとおしゃべりする時、そのお供はいつもビールです。醸造所併設のレストランもたくさんあるので、オーストリアを訪れた際はぜひ現地の地ビールをお試しください。
3. 日本人の口に合うオーストリア料理
オーストリアの料理と言われても、なかなか日本では馴染みが無いと思います。私自身もこちらに来るまでは、ほとんど知りませんでした。
オーストリアは周囲を8つの国に囲まれているため、様々な国の文化から影響を受けており、その影響は食にまで及びます。たとえば、牛肉や鶏肉などを叩いて薄く伸ばして油で揚げた「Schnitzel / シュニッツェル」という料理はイタリアから伝えられたと言われており、現在はオーストリアを代表する料理の1つとなっています。
またハンガリーが発祥と言われる「Gulasch / グーラッシュ」という牛肉と野菜を煮込んだシチューのような料理も非常に有名です。どれも日本人の口に合う味付けになっていると思います。個人的にはシュニッツェルにベリージャムを付けて食べるのだけは合いませんでしたが…
またオーストリアはカフェ文化が根付いているため、街の至るところにカフェが営業しています。甘いものが好きな方であれば、「Apfelstrudel / アプフェルシュトゥルーデル」というリンゴをパイ生地で包んで焼いたものや、「Kaiserschmarren / カイザーシュマーレン」という小さなパンケーキにベリージャムを付けて食べるものなど、有名なスイーツを試してみてはいかがでしょうか。オーストリアを訪れる際は、昼食に醸造所併設のレストランで伝統料理と出来立てのビールを、そして観光の一休みにカフェで伝統菓子を是非試してみてください。
4. 公用語はドイツ語だけど…
オーストリアの公用語はドイツ語となっています。ただしオーストリアの日常会話で用いられているドイツ語は、日本の教育番組や教科書で扱っているような、いわゆる標準語としてのドイツ語とは似て非なるものとなっています。
たとえば、日本でもよく知られている挨拶「Guten Tag / グーテン ターク(こんにちは)」は、私の住んでいる地域では「Servas / セァヴァス」や「Grüß Gott / グリュース ゴット」と言ったりします。Guten Tagはこれまでオーストリアで一度も聞いたことがありません。
私は標準ドイツ語であれば日常会話はある程度理解できますが、オーストリア人の友人同士が方言で会話を始めたら、私だけ一気に蚊帳の外状態になります。ただし、レストランや土産屋などでは標準ドイツ語を話してくれますし、ほとんどのオーストリア人(高齢の方たち以外)は英語を話せます。なので、旅行の際に訪れるような場所でのコミュニケーションは、特に心配しなくても大丈夫です。
5. 日曜日は休息日
オーストリアを訪れる際に気を付けていただきたいのは、日曜日はほとんどのお店が閉まってしまうことです。
こちらは歴史的・文化的・宗教的なものが理由で、日曜日は休息日となっており、一部の例外を除いて(ガソリンスタンド、薬局など)ほとんどのお店がお休みになってしまいます。そのため、いつも静かな街が、よりいっそう静かになります。みんな街からいなくなってしまったのかと思うぐらい静かです。祝日も日曜日と同様です。
労働者の権利保護の意識が強いため、平日であってもスーパーなどの閉店時間がとても早いことにも注意が必要です。平日でだいたい夜7時頃、土曜日は夕方6時頃には閉店してしまいます。
6. 恵まれた自然を活かしたアクティビティ
私のオーストリア人の友人が言うには「オーストリアにないのは海だけで、その以外はなんでもあるし、なんでもできる。」そうです。たしかに自然のアクティビティに関して言えば、海ですることを除けばなんでもできると思います。
アルプス山地をはじめとする山々、国内に点在する綺麗な湖、大きな河川沿いに整備されたサイクリングロードなど、地の利を生かしたアクティビティが楽しめます。暖かい季節はハイキングや水泳、サイクリングなど。雪が降る季節はスキーやスケート、さらに温泉まで楽しめます。
7. ヨーロッパのど真ん中、ヨーロッパ旅行の拠点となる国
地図を見てみるとわかるように、オーストリアはヨーロッパのちょうど真ん中に位置しています。周りをドイツ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、イタリア、スイス、ルクセンブルクに囲まれた内陸国で、ヨーロッパの交通の要衝としての一面もある国です。
そのため、鉄道網も各国まで張り巡らされており、場所によっては日帰りの海外旅行もできます。また、空路も充実していて、ウィーンからスペインやイギリスへの片道直行便が5,000円以下で手に入ることもあります。
オーストリアの特徴まとめ
オーストリアはゆったり緩やかな時間が流れる、安心して快適に暮らせる小さな国です。働くときはしっかり働き、休みの日はしっかり休むライフワークバランス重視の生活は、日本人の私たちが見習いたい生活スタイルだと思います。
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