【フランス留学】人生の転機。トゥールで学んだフランス流人生観

– Today’s writer –


名前/住まい

ポポロ(30代前半) /京都

どこの国・都市へ留学しましたか?

フランス トゥール

留学していた時期は? 

2000年8月

留学を決めたきっかけとその国を選んだ理由は?


高校3年の夏、数か所ある国の中から一か所、好きな国にホームステイが出来るという機会がありました。フランスといえば、モナ・リザで有名なルーブル美術館、ジャンヌダルク等、その数々で知られる、世界に名だたる歴史や芸術の国。

エッフェル塔や凱旋門、教会やお城、魅力的な建造物の数々にフランス料理。学生時代の私にとって、海外と言えば、オシャレなヨーロッパ、中でもフランス、という思いを強く持っていた為、英語に続く第二外国語としてフランス語を選択、高校3年の研修旅行で念願だったフランスへ行き、ホームステイを経験させてもらえる運びとなったのでした。

フランスと日本との間での大きな違いは?文化や習慣の面で驚いた点は?


日本と海外での文化や習慣の違いは多々あり、土足での生活やシャワーのみ(お風呂がない)といったあたりはよく知られている習慣かもしれません。

フランスもそんな国の一つで、体臭もあまり気にしない性質だと聞かされており、実際確かに体臭を感じる相手もいました(が、香水のお店は沢山あったので実際は気にしている人は多いのかもしれません)し、英語も通じない事が多い(フランス文化に誇りを持っている為と当時の先生から教わりました)等、行ってみて知る事は多々ありました。

中でも当時の私が最も驚いたのは、「性」に対して、とてもオープンで、生活の上でもかなり重要視されているという事でした。家庭でも学校でも、小さい頃から当然の如く、性教育が取り入れられており、避妊具の使い方や相手を思いやる事の大切さ等、様々な知識を男女共にきちんと教わっている様子でした。

そう言えば、お借りしていた息子さんのお部屋にも無造作に避妊具が置いてあり、日本では考えられない!と驚いてしまった事もありました。ただ、数年経った今、改めて感じるのは、日本が如何に「性」に対して閉鎖的であり、それが果たして良い事(日本の慎ましさ等もとても素敵な文化ではあるのですが)なのか?子供達にはどのように教えていくのが良いのか?等、様々な事を考えさせられるきっかけとなっているなという事です。



渡航先の町で見つけたおすすめの穴場スポットは?


TOURの街並みは本当に素敵で、田舎過ぎず、都会過ぎず、静かな場所もあれば、賑やかな場所もあり、フランスの中でも是非行って頂きたい町ですが、私のおすすめはやはり、お城のような外観のTOUR市庁舎、週2回開かれていた「のみの市」(朝市のような感じで、新鮮な野菜や果物、お花等沢山売られています)です。

どちらもとても楽しめる場所でした。又、フランスは、ゴシック建築発祥の地でもあり、それに伴い大きな窓にステンドグラスを施す技術が発展しました。TOURの町にも大きい教会から小さな教会、様々な教会がありますので、是非、町を散策の際、自分のお気に入りの教会も見つけて頂きたいですね。

滞在先の環境面は?どんな所に滞在したの?


ホームステイ先は、お城の様な外観のとてもオシャレな三階建てのお宅でした。いつも留学生を受け入れているお家で、マダム(ホストファミリーのママ)もとても優しかったです。

お部屋にもシャワーが付いていてとても快適でした。ただ、お家の鍵が、中々上手く開けられなかったので、何回か入れずに困った時がありました。複雑なつくりの鍵の場合もあるので、鍵の開け方等、初歩的な事もよく確認しておいた方が良いでしょう。

ドイツ人の留学生と一緒になった時期もあり、様々な国の人と異文化交流を積極的にされたい方にとってもとても良い環境だと思います。ただ、お家には格差もあったようで、中には、プール等もある邸宅に滞在した留学生もいましたし、逆に少し扱いが不親切で困っていた留学生もいました。ホームステイ先がどんなお宅になるのかも、一つの楽しみなのかもしれません。



「トゥール」はどんなところ?


TOURの町は、自然もあり、教会などの素敵な建築物もあり、静かで落ち着ける場所もあれば、賑やかにお買い物を楽しめる場所もあり、長期滞在するには、とても心地良い町でした。サン=ガシアン大聖堂やトゥール美術館なども有名ですし、とにかく町全体が、中世の建物が残っていて、歩いているだけで、まるで、おとぎの国へ来たような、そんな気持ちにさせてくれる素敵な町です。

日本では高松市が姉妹都市とされており、日本とも交流のある都市である事がわかります。実際、日本人留学生も多かったですし、受け入れ体制も整った町ではないでしょうか。また、ドイツ等近隣国からの留学生も多く、ヨーロッパでは多くの学生が長期休暇でバックパッカーや異文化交流に時間を費やすのだと当時のホストファミリーから教わりました。

留学の感想&読者の皆さまへアドバイス!


フランスでのホームステイの経験は、当時の私にとっては、未知の世界、初めての体験で、その全てが新鮮なものでした。そして、数年経ち、二児の母となった現在、改めて、あの時の経験が子育てにも影響している事を実感します。
日本で生まれ育った私は、「性」に対してもオープンに語るものでは無いと無意識の内に思っていましたが、出産・子育てを通じて、今、フランス流の生活や教育が如何に魅力的であったかを改めて感じる日々です。

無駄なものは持たず、良いものを長く大切に使う、お化粧においても、何にしても、シンプルisベスト。「性」に対しても、子供達が幼い頃から、恥ずかしがる事なく大切な事である事を伝えていく。これらを自然と実践しようとしている自分がいます。目に見えない分野での学びも経験していたのだと感じました。


また、フランスには、パリのエッフェル塔や凱旋門、ユネスコの世界遺産に登録されている、モン・サン・ミッシェル修道院をはじめ、沢山の素晴らしい場所があります。眠れる森の美女のモデルとなった、フランス中部にあるユッセ城等、沢山のお城巡りも本当に楽しいものでしたし、有名なノートルダム大聖堂でも知られる通り、教会に行けば、素晴らしいステンドグラスの光の幻想的な世界に出合えます。

食べ物に関しても、本格的なフランス料理から家庭の味、パンにスウィーツ、とにかく、おいしいですし、多岐に渡って、日本にはない、ヨーロッパならではの魅力に溢れた国です。尚且つ、今日本でも様々な場面でフランス流の生活の知恵や教育のススメといったものを目にする機会が増えた様にも感じます。歴史を学ぶ上でも面白い国ですし、語り始めるときりがないほど魅力的な国です。

異文化を学ぶ事、その楽しさや経験は、その時だけのものではなく、数年後、数十年後の自分にも活かされる事でもあるのだと今回の執筆で改めて気づかされました。一つ、アドバイスをするとすれば、やはり、その国の語学は出来る限り話せる状態で行く方がよい!という事でしょうか。

留学は、行けば話せるようになると思って当時の私は行きましたし、実際そう思われている方も多くいらっしゃると思います。確かにそれも一つではあるのですが、私の場合、全くコミュニケーションが取れず辛い思いをしたり、とんでもない失敗をしたりもしました。もっと話せていたら・・と思うと、一つ一つの場面が更に充実した時間になっていたであろう事だけが容易に想像出来、それだけが少し心残りでした。

現在は翻訳機等も発展してはいるでしょうが、やはり辛い時に助けてくれるのは何と言っても自身の語学力です!そして、楽しさを倍増させてくれるのも、やはり語学力。

留学は、「語学習得」というよりは、習得した語学を活かす「実践の場」と捉えた上で、ホームステイ等を経験されると、より良い時間と人生における学びを得られるのではないでしょうか。世界には、沢山の国があり、多くの人々が様々な文化や歴史を持って生活しています。異文化を知り、多様な文化や考え方を柔軟に受け入れ、活かす工夫が出来れば良いなと、常々感じている次第です。

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