デンマーク語で「居心地がいい空間」などを意味するHygge(ヒュッゲ)のコンセプトが日本で人気となっています。今回はそんな幸福の国、北欧「デンマーク」の特徴をお届けいたします。
本日のライター
名前 / 住まい
Kana / デンマーク
デンマーク在住歴
7ヶ月
1. デンマーク人が大切にするHyggeとは?
近年、日本でも「Hygge:ヒュッゲ」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。
「Hygge」とは、デンマーク語で、「自分が心地よいと思う空間で、癒しの時間を楽しむこと」を意味します。
少し分かりにくい表現ですよね。デンマーク人にとっての「Hygge」は、「本を読む」「友人とカフェに行く」などといった特別な事象を指す言葉ではありません。「Hygge」は、その人が心地よいと思う空間で、自分を満たしてあげることが一番の目的なのです。
なので、ある人にとっての「Hygge」は、「古い家でキャンドルを灯して静かに読書をすること」かもしれませんし、またある人にとっては、「友人を招いて、わいわいと料理を楽しむこと」かもしれません。
何をするか、どこで誰と過ごすかは関係ありません。デンマーク人は、自分が心地よい空間で自分の心を満たしてあげることがとても上手なのです。
たとえば、デンマーク人の夫は、休日の朝は決まって、焼きたてのパンを買いに出かけます。休日の朝くらいゆっくり家に居ればいいのに…と思いますよね。
どうやら夫にとって、温かく香ばしいパンと、淹れたてのコーヒーで休日の朝を迎えることは、彼の「Hygge」に欠かせない日課のようです。
2. 国民の幸福度が高いのはなぜ?幸福度が高いのはなぜ?
幸福度ランキング上位の常連
「デンマークという国をこのランキングで耳にした」というひともいるかもしれません。
毎年発表されている世界幸福度報告書(World Happiness Report)で、デンマークは常に上位にランクインしています。
この背景には、信頼できる福祉や医療、汚職が少ないといった国自体のクリーン度が関係しているようですが、私はデンマーク人が備える「幸せ発見センサー」が大きな役割を果たしているのではと思うのです。
幸せ発見センサー
デンマーク人は、小さなことに幸せを見つけることがとても得意です。
いうならば、五感のほかに、「幸せ発見センサー」のような特殊な能力を備えているというイメージでしょうか。
たとえば、暗くて長い冬、まれに太陽が顔を出すと、デンマーク人は幸せを感じるようで、その日はとても活動的になります。
わざわざ暖かい格好をして、寒空のもとデニッシュ片手にコーヒーを飲んでみたり、家族と散歩に出掛けてみたり…と太陽の恵みを存分に楽しみます。
何か特別なことをするのではなく、日々の生活の中に小さな幸せを見つけて、上手に、ほどほどに楽しむことが得意なのです。
3. 寝ている赤ちゃんを外に放置するデンマーク人
赤ちゃんは氷点下でも外でお昼寝
街中のカフェでは、ベビーカーですやすやお昼寝している赤ちゃんが外に放置されている光景をよく見かけます。
「寒さが厳しい北欧で、赤ちゃんを外に寝かせて大丈夫なの?」と思いますよね。
実は、デンマーク保健当局(Sundhedsmyndighederne)が、マイナス10度までは外で赤ちゃんを寝かせることを推奨しているのです。
ふわふわの毛布に包まれて顔だけひょっこり出した赤ちゃんたちは、大人が震える寒さの中でもとても気持ちよさそうに眠っていますから、きっと快適なのでしょう。
安全なの?
赤ちゃんを外に寝かせるなんて…と安全面も気になるところですが、デンマークの治安の良さは世界トップクラスです。
実際、2022年にドイツの汚職監視団体が発表した汚職腐敗指数では、調査対象となった180か国の中で「最も清廉な国」に選ばれたほど、クリーンな国として評価されているのです。
4. 物価は日本の2倍以上?でも教育や医療介護はすべて無料
25%の消費税
福祉や医療、教育がすべて税金でまかなわれている分、デンマークは物価が高く、商品には25%の消費税がかけられています。
たとえば、物価の優等生の卵。日本と同じく価格の変動はありますが、比較的安定していた2024年3月の相場は、10個パックで28kr(約610円)でした。世界情勢によるインフレーションの影響も大きいようですが…高いですよね。
外食は特別な日だけ
デンマークには、「世界のベストレストラン50」で5度の世界一を獲得した「ノーマ(noma)」をはじめ、数多くの有名なレストランがあります。
名高いレストランで値が張ることはもちろんですが、そもそもデンマークでの外食にはとてもお金がかかります。
デンマークの国民食、スモーブロー(Smørrebrød)という小さなサンドイッチを注文すると、50kr(約1100円)くらい。ランチプレートは、130kr(約2850円)くらいが相場でしょうか。
日本のように、気軽にランチへ…というわけにはいかないのです。
教育や医療介護は無料
そんなデンマークですが、2023年の平均月収は46972kr(約103万円)と高水準です。もちろんここから税金が引かれます。
税率は、日本と同じように収入や居住地によって金額に変動はありますが、平均的な収入があれば半分くらいは税金として引かれます。
その分、歯科治療を除く医療費、介護は無料です。教育は大学も含めて公費で賄われるうえ、国から定額の学生手当まで支給されるのです。
デンマークの学生は、「お金をもらって教育を受けている」という感覚を持っているようです。
5. 飲酒は文化
お酒は16歳から?
暗くて長い冬を乗り越えなければならないデンマークでは、飲酒のハードルはかなり低いです。
アルコール度数16.5%以下の飲料は、16歳から購入できます。それより強いアルコール飲料は18歳以上で購入可能です。
バーやレストランなどでの飲酒は18歳以上ですが、飲酒のハードルは、日本よりもかなり低い印象です。
飲酒しても運転していい
日本人には信じられない事実ですが、デンマークでは、飲酒しても血中アルコール濃度0.05%以内であれば運転を許可されています。
これはビール2〜3杯に相当するといわれていますが、その人の体質にも左右されるようです。
夫の実家で、ビールを楽しんだあとに、夫が運転して帰る光景は未だに信じられません。
6. ワークライフバランス
労働時間は週37時間
日本では、週40時間までの労働と法律で定められていますが、デンマークではそれより3時間短い、週37時間までと定められています。
そのため金曜日は、お昼過ぎから帰宅ラッシュで道路が混み始めます。そのまま家に帰るひともいれば、カフェに寄っていくひともいたりと、金曜日の過ごし方はひとそれぞれです。
金曜日に街に出ると、Hyggeを楽しむデンマーク人をきっと見かけるはずです。
5週間の有給休暇はすべて消化が義務
デンマークでは、労働者に対する権利として5週間の有給休暇が与えられます。
なので、5月1日〜9月30日の期間に、まるまる1ヶ月休んでバカンスへということもできるのです。
取得の仕方も比較的自由で、復活祭(イースター)の連休と合わせて休暇を取るひともいれば、クリスマスの連休と合わせるひともいたりと、家族や友人と日を合わせて休暇を楽しむのが一般的です。
7. クリスマスは家族みんなでHygge,もちろん家でゆったりと
デンマークは、キリスト教の国ですから、クリスマスが近づくと街はお祝いムード一色となります。
日本では、ライトアップを見に行ったり、おしゃれなディナーに出かけたりと、外出することが多いですよね。
一方、デンマークでは、クリスマスの時期にはレストランやカフェ、雑貨を扱うお店などほぼ全てのお店が閉っています。地元に帰省して、両親や親戚と一緒に過ごすためです。
24日の夜には、ツリーを囲んでみんなで歌って周り、伝統的な料理を食べてクリスマスをお祝いします。ツリーの下にたくさん積まれたプレゼントは、大人になってもワクワクする光景です。
ちなみに、クリスマスの定番料理は、鴨肉のローストと、甘くキャラメリゼされたじゃがいもです。みんな大好きな伝統的なごちそうです。
デザートには、チェリーソースをたっぷりかけたクリーム粥(Risalamande)をいただきます。このクリーム粥の中には、アーモンドが丸々一つ隠されているのが定番で、運よくそのアーモンドを食べたひとは、プチギフトをもらえます。
昨年のクリスマスは、夫がそのアーモンドを当て、「Hygge quiz」というカードゲームをもらっていました。
やはりデンマーク人にとって、Hyggeは生活に欠かせない大切な要素となっているようですね。
デンマークの特徴まとめ
いかがでしたか?日本から遠く離れた小国デンマークには、日々を幸せに暮らす知恵がたくさん隠されています。
デンマークに一度訪れてみると、みなさんの日常を少しだけHyggeにする暮らしのヒントが見つかるかもしれません。
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